出会い

そこは瓦礫の山だった。夢の跡なのだろうか。壊れた道路に、光らない街頭、そして、よくわからない機械の山だ。かつては栄えたであろう文明の歴史が感じられた。そこは危険な場所で、人はあまり訪れない。

そんな場所に女の子は住んでいた。一人でもやっていけたのは、多分、その体のおかげだろう。見た目の割に丈夫で、風邪一つ引かなかったし、食べ物がなくても、少しの水さえあれば生きていける。他の人とは違う、そんな体だった。いや、外面のことではなく、内面のことだが、なにか構造が違うのかもしれない、そんなことを感じた。

小さい頃、父親が買ってくれた布で作った少し大きめの服は、もう裾がボロボロになり、薄汚れていた。

女の子は、今や成長し、6,7歳になる頃だった。もしかしたら今日あたりが誕生日で、だとすると、7歳だろう。今は冬で、女の子が生まれたのも1月だ。

そんな事を考えながら、眠っている場所から外に出て、女の子は空を見上げた。女の子は、そうすることで、今が何月何日かがわかるような気がした。

しばらく月明かりを浴び、冬の月夜に廃墟の街、たった一人で突っ立っていると、どこからともなく、ふらりと一人の老人が現れた。手に何かを持っている。

やがて、老人はまっすぐこちらにやってきた。

女の子は、逃げようかどうしようか迷ったが、なぜか足が金縛りにあったように動かない。

ひょろりとした長身に、銀色の長いあごひげを蓄えた相当な歳だと見受けられるその男は、青色の瞳を女の子に向けた。

その目つきは、不思議なことに、恐れているように見えた。さらに、その手に持ってるのは、何故かサボテンの鉢植えだった。

やがて、老人は目の前で止まり、女の子に話しかけた。

「君は、今、幸せかな?」

「...」

女の子は、突然の出来事と質問に、無言で固まってしまった。

「これをあげよう」

突然、老人は、大事そうに持っていたサボテンを女の子に手渡した。

女の子は、なぜか、なぜだかわからないが、無言でそれを受け取っていた。

「いい子じゃ。幸せは、歩いては来ない。だから、こちらから歩いていくのじゃよ。それは幸せのサボテンという。きっと君を導いてくれる」

それだけ言って、老人は立ち去ったのだった。

変わったことがあるものだ。しかし、その数日後、女の子は、魔法国から任務できていた上級次官に保護され、そこに行くことを選択することになる。なお、これはあくまで保護であり、拉致ではないので、決定権は、保護される子供にある。だから、事情と受けられる生活保障、その他の制度などを説明され、同意が求められるのだ。サボテンを持った不思議な女の子は、生まれた土地を離れ、旅に出る。長い長い旅に。

これから女の子が飛行機に乗って行くのは、現在最も成長著しい再興国であり、世界初の魔法国家であり、別名、幸せの国とも呼ばれていた。

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