サクラの新学期

サクラは、入学式を迎えた。第三期生の中学1年として。

ちなみに、第三期というのは、2173年に入学した者達すべてがそう呼ばれる。2170年から始まった世界初の魔法学校なので、歴史は浅い。第一期生として入学し、卒業していったものも少数いるらしいが、彼らが何をやっているのか、サクラは知らない。ただし、卒業生は、卒業してから1,2年間、実習生として、この国の管理運営に携わる機会が得られるとされている。もちろん、任意だ。そして、卒業生は全員、卒業生として国家情報へのアクセス権が与えられる。このアクセス権は、魔法レベルによってもレベルに応じて増えていく。レベル6ともなれば、相当な機密情報にもアクセスできるようだ。

これらの制度は、この国が、国民を信頼していることに他ならない。だからこそ、豊かな環境を国民全員に提供する努力をしている。そうでないと、他国に情報を売ろうとする輩が出てきてしまうからだ。そのための資金は、レベル6をその能力に応じて、各国に派遣することで稼いでいるという噂だが、新エネルギーの発見というのも大きい。その期待からか人材とお金が集まり、現在最も成長著しい国となっている。

しかし、世界政府は、これを快く思っていない。なぜなら、自分たちの支配力が弱まるだ。表向きは同盟関係を結んでいるが、裏では、着々と、この魔法国家を武力攻撃し、侵攻する計画が進められていた。

サクラの入学は、そんな最中に行われたのだが、この平和な入学式には、微塵もそんな気配を感じさせなかった。

式は自由参加であり、真面目な生徒だけが出席していた。

サクラは、周りを見回した。すると、制服を着ているのは一人も居ない。

いや、正確には、一人いた。それは...それは、サクラ自身だった。私だけじゃないか!

そんな気合いが入りすぎた自分が、少し恥ずかしく思えた。

更に、そんな入学式から1ヶ月が経過し、ほとんどの生徒が魔法を使えるようになっていた。にも関わらず、誰よりも早く杖を手に入れ、誰よりも早く制服を着てきたサクラだけが、クラスで唯一、魔法を全く使えないこともあり、その時のことが、さらに恥ずかしく思えたのだった。

「はあ...みんなは、普通に魔法を使って、たくさんの遊びやいたずらをやってるていうのに、私だけが...取り残されてる」

サクラは、寮のベッドに仰向けに寝転びながら不満そうな声を出す。独り言だった。

おかしなことに、入学式が終わってから、街中では小さな魔法を使っている人を見かけることが増えていた。その結果、人々は、自然と杖を持ち歩くようになっていた。

だけど、サクラがあの時買った、杖職人の杖は、あまり...というか、全く機能していなかった。他の道具も試してみたけど、残念ながら全滅だった。

他の子の魔法道具はちゃんと機能していたので、サクラは、自分には魔法の適性がなかったのだと、そういう考えから逃れられなかった。

「魔法なんて、なかったらいいのに..」

そうつぶやいて、サクラは毛布を被り、そして、いつの間にか眠りについていた。

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