ゴースト

この創造の間と呼ばれる秘密の部屋は、子供部屋のような様相だ。そこで、一人の女の子が床に座り、眠っているように見える。

彼女は夢を見ているのだ。創造の夢を。

「前から思ってたけど、ユイにはもっといい服を着せてやりたいな」

ユウジは、創造の間の真横に設置された監視室からユイの様子を見ながらそう言った。

「ああ、ムリムリ。彼女が嫌がる。それに、そんな必要ないと思うぜ」

ここ最近、この部屋に常駐しているボブは、そう言った。

「なんで?」ユウジが聞いた。

「ここにはあらゆる設備が揃ってる。酸素濃度、細菌の数、その他、色々なものを解析できる。それに俺の能力もあって、彼女の体、そして、服もなんだけど、なぜか、一切の汚れを寄せ付けないようになっている。つまり、あれで新品なんだ。まるで、特殊な金属か何かのように思えるよ。全然、違うけどね」ボブがそう言った。

「そんなバカな。だって、裾とかボロボロだし、新品なはずないだろ」ユウジが反論する。

「いや、分析の結果、あれで新品なのさ。うーん、なんていうのか、そういうファッションなのかも...」ボブが曖昧な言い方をした。

「ファッションってなあ...」ユウジは、はっきり言えよという感じだった。

「...俺、アニメとか好きじゃん」ボブが言った。

「ああ、そうだったね。僕はあまりわからないんだけど、そういう話しているときのボブは、ほんと楽しそうだからね。わかるよ」ユウジが同意した。

「でさ、アニメに出てくる魔法少女に、ゴーストタイプの女の子が出てくるんだ。その子は、新品でも、ああいう感じのファッションだぜ」ボブが言った。

「...ボブ、これは現実だ。アニメじゃない。それに、ユイがゴーストタイプだといいたいのか?」ユウジが言った。

「いや、いや...そういうことじゃないけど。でもさあ、あの子は、やっぱりちょっと変だよ」ボブが神妙な顔つきで話し出した。

「なにが変なんだい?」ユウジが聞いた。

「あの子は、あの子は...食事を一切必要としないんだ。それでも普通の状態だし、やせ細ることもなく、動いて、生きてる」ボブが言った。

「...それについては、報告に聞いてるけど、多分、あの子が持つ特殊な魔力のせいだろう?」

「でも、本当にそうなのかな。俺はちょっと疑いだしてる。それに、あの子は、全く歳をとっていないように見える」

「そりゃ、まだ日が浅いから、そんな早く成長しないさ。あの子も1年後には、10cmも身長が伸びてるんじゃないか。7歳っていうと、育ち盛りだしね」ユウジが言った。

「いや、そういうことじゃなく、ここで観測されてる彼女の細胞は、全く劣化が見られないんだよ。これって絶対おかしいぜ。普通じゃない」とボブが言った。

「でもそこまで詳しく見てないんだろ?聞いてるよ、医師のこと」ユウジが言った。

「ああ、そうさ。彼女の血液とかはまだ調べられていないよ。医者が彼女に注射するのを嫌がるんだ。そりゃそうだよ。だって、彼女に針を指した瞬間、自分が蒸発するかもしれないんだから」ボブが言った。

「そんなはずないって。ボブや他の人達は、怖がり過ぎなんだよ」ユウジが注意した。

「じゃあ、君がやればいいさ。君は、あれを見てないからそんなことが言えるのさ」ボブがぶつくさ言った。

「あれって?」ユウジが聞いた。

「彼女の魔力さ。はじめてそれを見た時、俺は、まるで宇宙に飛ばされたみたいだったよ。そして、太陽のような光の中に落ちていくんだ。彼女の魔力は、それほどまでに、絶大で、強大だ」ボブはとても心配そうだった。

「...話を戻すけど、彼女の外から確認できる細胞?それも全部、魔力のせいじゃない?」ユウジが言った。

「全部魔力のせい...本当にそうなのか?彼女には、もしかしたら、もっと大きな秘密がある気がして」とボブが言った。

「例えば、どんな?」ユウジが聞いた。

「例えば...例えば、彼女は、もしかしたら、ゴーストタイプかもしれない」ボブがそんなことを言い出した。

「はははっ!ゴーストタイプって、なんだいそりゃ?実は死んでたってかい?そりゃないよ。現にあそこに居るじゃないか」ユウジが笑いながらそう言った。

ともあれ、何かと謎の多い女の子であることは、確かだった。

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