サクラの特殊魔法

「だから、魔法って物を動かしたりするほうが簡単なんだよ」

「いや、それはサクラだからだろ。俺にはどうも...」ユウキがモゴモゴと言った。

「そういえば、ユウキくんは、どんな魔法が使いたいの?」サクラが聞いた。

「なんでそんなこと?」

「ユウキくんって、最年少のレベル4なんでしょ。だから、そんなすごい人は、一体どんな魔法を使いたいのかなって」

「おれは...」

「?」

「サクラ、五大元素って知ってるか?」

「うん、ここの学校で習ったよ。昔の偉い人がそう言ったって話で、水とか火とかのことでしょ。でも、本当のことじゃないんだよね」

「ああ、そうだけどな。おれはああいうのが...」

「でも、それって難しいんでしょ」サクラが屈託なく言った。

「いや、正確には違う。難しいんじゃなくて、不可能なんだ。なぜかはわからないが、魔法で五大元素を作り出すことはできない。ああいう自然のものは特に」

「ふーん、でもなんでだろうね。漫画とかではよく出てくるよね。火と雷とか。まさに、魔法使いが出すっていうイメージなんだけど」

「ああ。でも、本当の魔法でそういったことは無理なんだ」ユウジが説明する。

「なんでだろうねー」あまり五大元素には興味がないサクラがのんびりと相槌を打つ。

サクラは、またユウジの家に遊びに来ていた。ここに住んでいる人から色んな話を聞けるし、面白いのだ。

すると、ドアの向こう側から誰かが通り過ぎる気配がした。

サクラがそちらの方を見ると、なんと、校長が家の中を歩いている。とても珍しい。サクラはこの家でユウジを見たのは実はこれがはじめてだ。

「おや、サクラくん。また来ていたのかい?」

「は、はい。お邪魔してます」

「うん、ユウキから君のことを聞いてるよ」

「あ、いえ。どうも。それで、あの...私のこと、どんな風に聞いてるんですか?」

「ん、ああ、教科書に載ってないようなことを知っている不思議な子だと。あと、そのいくつかが最新の研究ですら、明らかになっていないものが含まれているような気がするのだけど、君が一体どこからそんな情報を得ているのか、実に興味深いと思ってね」ユウジが少し考える素振りを見せた。

しかし、すぐに首を振って、サクラの方に向き合った。

「いや、しかし、君たちの時間を邪魔する訳にはいかないな。僕はこれで失礼するよ。ああ、最後に、ここは君にとってどんな場所なのか、それを聞いておきたかったんだ。いいかな?」

「えっ?は、はい。うーん、そうですね。面白いところ...だと思います」サクラがそう答えると、ユウジは微笑んだ。

「そう、それは良かった。若いときしか、面白いものは見つけにくいからね」

ユウジは、よくわからないことを言った。

「あの、私からも質問していいですか?」

「ああ、いいよ」

「特殊魔法ってなんですか?」

「うん、特殊魔法、僕たちはそう呼んでいるんだけど、その人が持つ一般的ではない魔法能力のことかな。誰にでも一つは持っているとされているものだけど、なかなかそれを見つけることはできないとされている。だからそれを見つけられた人は幸運だね」

「私、実は、夢を見るんです。同じ夢を。それって、なにか特殊魔法と関係しているのかなって思って...」

「ほう。それはどんな夢なのかな」

「はい。女の子がいて、その子が目を覚ますんです」サクラがそう言った。

すると、一瞬、ユウジが息をすることすらためらったかのように見えた。

「...それで、その子は?」

「あ、はい。そして、場面が変わるんです。とてもとても高いところ、あそこはなんだろう。山...岩山かな。そこから結晶になって洞窟のような場所に落ちていくような夢を見るんです。何か意味があるのでしょうか」

「...うん。どうだろう。今の時点ではなんとも言えないが、昔から予知夢というものがあってね。魔法の力は、実はずっと昔から存在していた力なんだ。僕たちが気づかなかっただけでね。だから、魔法と夢が無関係とまでは言えないと思うよ。また、人間は、眠っているときに一番すごい魔法力を発揮すると考えている学者もいる。そういう説があるんだ。しかし、サクラくん。夢はあくまで夢だよ。あまり気にしなくていいと僕は思う」

「は、はい。そう...ですね」

「じゃあ、僕はこれで」

「ありがとうございました」

「うん。では失礼」そう言って、ユウジは階段を降りていった。

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