霊媒の間

大きな赤い鳥が、海の上空を飛んでいる。鳥の目から見て、少し先には沖があり、無数のビルディングが霧がかったように立ち並ぶ。

しばらくして、大都市の中心部の上空にたどり着き、下には、丸い屋根の大聖堂。赤い鳥は、そこをめがけて急降下し、屋根の裏に、すっと消えた。

鳥が消えたところをじっと見ていると、突然、その場所から人の足がにょきっと現れ、革のブーツが、静かな音を立てて大理石の床を叩いた。何者かは、そのままゆっくりと大股で歩き、やがて、建物の中へと消えた。入り口には、「精神の間」と書かれている。

建物の中に入った男は、隠された秘密の通路を通り、そして、地下へと向かうボタンを押した。すると、地面は音を立てずにスーッと下に向かう。

やがて目的地にたどり着き、そこは今や、かつての同じ場所とは全く異なる様相に作り変えられていた。

男は、そこを「霊媒の間」と名付けたが、しかし、それは実態とは程遠い、名ばかりのものであることを、男は理解していた。

すると、何者かが背後に立つ気配を感じ、男は後ろを振り向いた。

そこに立っていたのは、とても小さな少年の姿だった。逆立った金髪で黄色い瞳、不思議な服装だ。

銀色の長いあごヒゲに、細長い黒のローブを纏(まと)った年寄りとは、対照的だ。

「よお」少年は老人に挨拶をした。

「これはこれは、まさか、あなた様がこちらにお越しくださるとは、思いもよりませんでした...」老人は可能な限り丁寧な言葉遣いでそう言った。

「それにしても、なんでそんな恰好なんです?」

「ははは、ここでは、この姿が何かと便利なんだ。子供の姿がね。それに、もし、おらが本当の姿になったら、ここの屋根をぶち破っちまうぞ」

「ふむ、そうでしたか」老人が言った。

「それで、おめえは何しにここへ?」少年は聞いた。

「あ、いや、それは...」老人が何か言おうとしたが、

「いや、言わなくていい...なるほど」と少年が言った。

「神様、心を読まないでいただきたい...」老人が注意した。

「ははは、でも、あれは心を読むことで動いてるだろう?」少年が言った。

「それに神と言ってもなあ、おらは、ここの奴らが考えているそれとは全く違ってんだけどなあ」少年は頭をかきながら困った様子でそう言った。

「それはどういうことで?」

「ここからは、私が説明しましょう」

「うおおっ!?」老人が少したじろいだ。

少年の肩からモヤモヤした霧のようなものが出てきたからだ。

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