新世界

魔法が発見されて7年目を堺に、世界は一瞬で変わった。

はじめは、魔法国家と世界政府の対立だった。

魔法国家は、自由と信頼を理念に、そして、世界政府は、支配と管理を信念にしていた。どちらが正しいわけでも、間違っているわけでもなかった。

それは単に構造の問題だった。魔法国家のように円柱型を目指すか、世界政府のように貧困層が0.1%の人間を支えるピラミッド型を目指すか。理想と現実の問題だ。

自然の摂理によって、ピラミッドの支配型のほうが長く継続することはわかっていた。実際、理想だけでできた魔法国家は、7年で崩壊。突然出てきた第三の勢力に奪われてしまう。

ただ、第三の勢力を人々はあまり認識していなかった。それが何を信念として行動しているのか、知らなかったし、知る由もなかった。

噂では、何か宇宙人か未知なるものが第三勢力に手を貸したから、その支配を手にしたのだと囁かれていた。しかし、それがたった一人の魔法使いによるものだとは、誰もが予想をしていなかった。

それは、単に、かつて魔法省のトップにいた者達からの証言があったため、どうやらこれは魔法国による支配ではなく、第三勢力によるものらしいという推測がなされただけの話だった。

その第三勢力は、心によって人間をより分けた。具体的に言うと、自由になるべき者とそうでない者によってより分けられたのだ。自由になるべき者は、その行為のすべてが許される土地に強制的に転送された。人々の心を読み取る魔法は、かつてツキミ・ユイがいくつもの仮想世界で構築したデータが用いられた。それは性格とも呼べるもので、圧制者たる資質を持った人間の本質が暴かれ、そこに移されているらしいことを、人々はなんとなく認識していた。

そして、半年後、人類は、早々にその土地を特定し、調査が開始された。そこには自らの意思で入ることは可能だったが、出ることはできなかった。出ようとすれば、空気の壁に押し戻されてしまうとのこと。調査員数名の犠牲によって、そのことが明らかになった。その壁は、なぜか、刺しても突いても押しても、どうやっても壊せないらしい。

そして、証拠が提示され、そこで行われている残虐非道な行為の数々を人類が知ることとなった。

すぐさま議論が開始され、そこにいる危険人物達を核ミサイルで一掃する案が出された。

その1年後、計画が実行され、核ミサイルが特区に撃ち込まれた。入ることだけが自由な空気バリアを通過し、爆発を起こす。しかし、爆発は予想通り、バリア内にとどまった。

死者100万人以上。特区内にいた一部の人間は、その情報をどこかから得ており、地下に逃げ延び生き残ったが、特区内にいたほとんどの人間が命を落とした。被爆し、死亡したのである。

数カ月後、その極悪非道な案に賛成した人間たちの何人かが、忽然と姿を消した。

噂では「もしかして特区に転送されたのでは?」と囁かれた。

しかし、真実はたった一人を除いて、誰も知るところではなかった。

そんな特区で起こった悲惨な出来事とは裏腹に、世界は平和だった。平和で、そして、人々の暮らしは、急速に良くなっていた。まさに、そんな暗黒の時代だった。

results matching ""

    No results matching ""