はじめての魔法

ユイは、はじめて使う魔法で、一体、何をしようとしていたのだろうか。今や、それを知るすべは一つもなかった。

しかし、いくつかの会話によって、それをつなぎ合わせてもらえればと思う。

今回の語り手は、すべてを思い出したあのときの私だ。そして、星に記憶そのものでもあった。

男が二人、何かを話している。一人は、まくしたてるようにもうひとりの男に怒鳴っていた。

「レベル7には、例のあれの内容を、世界政府のトップ連中を全員、例外なくあの世に葬り去るように、と念を押しておくように。いや、質問はするな。これは決定事項だ!」

男は口角泡を飛ばして、怒鳴るようにそう言った。薄暗くて窓がない廊下だった。

場面が変わる。ここは、茶色の地面の上。辺りは濃い霧に覆われ、草がまばらに生えている。

「セブンは、どんな魔法を使おうとしとったんか、もう一度、教えてくれへんか?」ハリネズミが人間の言葉を喋っている。

「ああ、あやつの魔法、それはそれは幼稚なものじゃったわい」老人が深くため息を付いた。そこ声は、まるで、この時代に絶望しているようだった。

「あやつは、大聖堂におる者達、対立し合った者達を外に出してのう、そして、そこに小雨を降らせ、虹を見せようとしておったのじゃ」老人が言った。

「えっ?それだけ?」ハリネズミがびっくり仰天した。

「ああ、信じられんが、それだけじゃった。だから、わしはその中身を改竄し、魔力を配分し、強制転送システムを組み立てた。苦労したわい」老人が言った。

「まさか全部自分がやったんかいな?」ハリネズミが聞いた。

「いや、最終的に選択されたのがその案だったということじゃった。魔法省があやつに要求しておった案もあったし、テスト中にいくつか思うところもあったのじゃろう。そういった設計図で利用できる部分は、転用したよ」老人が言った。

「しかし、あやつが最後に選んだあれで、本当に争いが収まるとでも思ったのか。どこまでも子供で、幼稚な発想じゃったわい」

「まあ、そう言うなや。いくら魔力を持っとったとしても、まだ小さかったんやさかい」とハリネズミが養護した。

「いや、あやつは、いくつもの仮想世界を作っておった。そうやって世界を観察し続けた。それはもう数え切れないほどにのう。故に、今まで生きたどの人間よりも、経験と知識を有していたじゃろう、ほぼ確実にな。にも関わらずじゃ、彼女は何もせんし、現に、何の意味もない魔法を使おうとしておった。そういうやつはのう、何もできんし、何を成し遂げることもないじゃろうと、わしは思う」老人が言った。

「お前さんの勘は当たるからなあ。まあ、お前さんが、そういうなら、そうなんやろうなあ...」ハリネズミが同意した。

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