存在の花

その核は、世界樹ではなく、存在の花

真っ白な何もない大地に、一人の女の子が立っている。

真っ直ぐな黒い髪に、真っ黒な瞳をした見た目が6, 7歳くらい女の子だ。身に着けている白系の服は、裾がボロボロに崩れている。率直に言って、みすぼらしい感じの身なりだった。

その女の子は、何をするわけでもなく、ただ空を見上げていた。

何か考えごとをしているのだろうか。それとも、何も考えず、ただ呆然と夜空を見上げているだけなのだろうか。

空は黒く、一つだけ、ぼんやりと青い月が輝いている。ここまで青い月なんて地球では見たことがない。だとすると何かの錯覚か、幻か、それとも...。

しかし、女の子の表情からは、何を考えているのか読み取ることはできなかった。

この場所はどこだろう。周りを見渡しても、たった一つだけ大きく突き出た岩山が見えるだけで、全く何もない。遥か彼方に、青白い光を放つ月がキラキラと煌くだけの、そんな場所だった。

そう、それは、まるで、ここが地球ではなく、何か別の場所のように感じる。

すると突然、女の子の後ろの方からノシノシと大きな音が聞こえ、それが近づいてくる気配がした。

振り向くと、巨大なドラゴンがこっちに向かってくる。

ドラゴンの全長は、ゆうに8メートルを超えていた。

やがて、その巨体の影が小さな女の子に覆いかぶさった。

「今すぐ逃げろ!」そう叫び出したくなるような光景だった。

しかし、女の子は驚くことに、相変わらず影の中からじっと、夜空を見上げたままだった。

微動だにしない女の子は、もしや次世代型のロボットか何かではないかと、そう疑い出した時、女の子の隣に立ったドラゴンが人間の言葉を喋りだした。

「ねえ、あとどれくらい外にいられるの?」

外?外とは一体なんのことだろう。見渡す限り内なるものが全く無いように見えるこの場所が、仮に外だとすると、この子達は、地下にでも住んでいるのだろうか。その突拍子もない予想は、実のところ正しかった。

女の子はドラゴンの質問に「少しだけ」と短く答える。

ドラゴンは、大きなため息を付いて、「はあ、そうなの...なら、今のうちに外の景色を満喫しておかなきゃ」と言った。

やがて、ドラゴンも空を見上げる。すると、上空の遠い遠いところから「ずーん」という音が響き、雲の間からオーロラのような光が漏れた。

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