オーロラ

「わあ、きれいだね。そういえば、この星では、オーロラがよく出るよね。なんでかわかる?」

ドラゴンは、ゆらゆらと地上に降りていく光のカーテンを見ながら、女の子に話しかけた。

「それは、この星の上空で核が爆発しているからだね」

「かく?かくって何?」

「核兵器」

「えっ!核兵器?核兵器って、あの人間が使う核兵器のこと?」

「うん」

「えっと...大丈夫なの?」とドラゴンは心配そうに聞いた。

「大丈夫」

「なぜ?」

「ここに入れるものなんて、何もないから」

しかし、女の子がそう言っても、ドラゴンは、あまり納得していないようだった。それもそのはず。なぜなら...

「唯一の例外は、君だけど」

女の子は、ドラゴンのほうを見て、そう付け足した。

どうやら女の子も、このドラゴンがどうやってこの星に侵入したのか、わかっていないらしい。

するとドラゴンは、苦笑いしながら「ははは...まあ、君にもまだ知らないことがあるというのは、いいことじゃないか」とそう言葉を濁すのだった。

星の記憶は、命の記憶とは性質が全く違っていて、その星で起こった出来事すべてを記録する。

にも関わらず、いくつかの情報が欠けていた。一つは、この女の子に関すること。そして、もう一つは、ここに居るドラゴンのことだった。ドラゴンがこの場所に初めて訪れた時、彼は、自分をネコと名乗った。

女の子は、自分の情報が地球に記録されないような存在になりつつあることを認識していたし、そもそも星の記憶を設計したのも彼女だった。しかし、このドラゴンは別だ。

ドラゴンは、地球では生命の龍と呼ばれていて、長い間、地球という星そのものに過酷な労働を強いられてきたらしい。今は、ようやっとそれを抜け出し、こっちに逃げてきたというわけだ。ただ、このドラゴン、ある期間だけの消息が星に記憶にも残っていないので、不思議だった。

「それはそうと、なんでここに核兵器が飛んでくるのさ?」ドラゴンが聞いた。

「知らないからじゃない?」と女の子は、適当に返事をする。

「知らない?」

「知らないから、調べようとしているんだよ。きっと」

「ああ、そうか。人類にとって、この星は未知なんだ。だから調べようとしてるんだね」

「...まあ、そんなとこ」

「でも、核兵器を飛ばしてくるなんて、物騒なやり方だね。壊れたら大変だよ」

「核兵器では星を壊せない」

「え、なんで?人間は核兵器で星が破壊されるってよく言ってるよ」

「あれは嘘。人間もそのことは認識している。核兵器が1億発落ちても星は壊わせない。星は、それほどまでに広くて大きい」

「じゃあ、なんで人間はそんなことを言うんだろうね」

「...」

「そういえば、核は何を使って防いでるの?」

「大気の膜」

「え、それだけ?」

「うん」

「うーん、でも、ここからじゃ見えないよね」

ドラゴンは目を細めて、遠くの方を見るような仕草をした。

「ここにもあるよ」

「えっ、どういうこと?」

「私の周りも、その膜が張ってある」

「やっぱり見えない。でも、それって、どんな意味があるの?」

「これがある限り、温度変化を受けないし、あと空気変化もない」

「どうやってそんなの作るの?」

「最高温度と最低温度を組み合わせるの」

「...あ、そう」

ドラゴンはそっけなくそう答えた。

この驚くべき設定の無茶振りには、ほとほと呆れているのかもしれなかった。

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